「有紀子ちゃんは賢いし、美人だし、将来が楽しみだねェ
それに比べて律子、アンタって子は・・・」

幼い頃から3つ年上の姉と比べられて育ちました。
容姿端麗で明るく社交的な性格の姉。
パッとしない容姿に、地味で内向的な性格の私。
周囲の人々がどちらを可愛がるかは、言うまでもありません。
ひどい時は実の両親からも、侮蔑と哀れみの言葉が飛んできました。
姉の美しい容姿と、社交的な性格は母譲り、
冴えない容姿と地味で内向的な性格は、父譲りでした。
「どうして私ばかりこんな目に遭うのだろう」
心の中でいつもそう思っていました。

幼少期から比べ続けられてきた、その恨み辛みからなのか、
はたまた子供じみた対抗心からなのか。
大人になった私は、姉の旦那である男性の人と男女の関係を
結ぶようになりました。
「恵まれている姉の人生をメチャクチャにしたい」
そんな気持ちが、どこかにありました。

不倫関係は次第にエスカレート。
とうとう、彼の子供を身籠るようになってしまいました。
「付き合っている男性との間に子供ができた」
周囲にはそう話し、子供を産みました。
幸い子供は私にソックリな顔立ちをしていたので、
周囲に不倫関係がバレるようなことはありませんでした。

「なに、子供を産みたいだって?冗談じゃない、
僕たち夫婦はどうなる。不倫がバレたら即離婚じゃないか」

出産前、何度も彼にそう怒鳴りつけられました。
激しく憤るその姿を見て、改めて私は愛されていないのだと、
そう実感し、落胆しました。
しかしもう産む以外、他に選択肢はありませんでした。
今も、彼とは不倫関係が続いています。
「子供が出来た」って言った時はあれだけ憤っていたのに、
結局己の欲望に負けるなんて、ほんっと馬鹿な人。

でも、私にはそっちの方が都合が良いのです。
何だかんだ言って私も、彼のこと、心の中で思い慕っていますから。
それに、復讐はまだ終わっていませんし。

彼の持つ素晴らしい遺伝子を忠実に受け継いだ我が子―
「将来有望」といっても、過言ではないでしょう。
その子を巧みに利用し、上へ上へとのし上がっていく―
これこそが、私が考えている一番の復讐法です。

私にとって非常に都合が良かったのは、姉が子供を産めない身で
あったこと。若い頃遊び過ぎた姉は、一度中絶をした経験からか、
子供が産めない身体になっていました。

「この家の跡を継げるのは、お前の子供だけだ」
父はそう言って私に縋りついてきました。
何とも言えない大きな優越感。心底意地の悪い気持ち。
彼の子供だとバレないよう、子供が大きくなったら整形手術をするつもりです。性格なども似ることがないよう、細心の注意を払っています。
この子が大きくなるその時が、今から楽しみでなりません。
女の怨みって怖いですね、ふふふ。

Pocket
LINEで送る