あれから何年も経ち、時効になっていると思いますので

過去に犯した私の過ちについてお話しますね。

あれは今から6年前、私が大学3年生の時の出来事です。

当時、私には付き合って1年目になる彼氏が居ました。

彼とは同じ大学のサークルで知り合いました

境遇や考え方がよく似ていたことが付き合うきっかけでした。

周囲から『おしどり夫婦』と呼ばれるほど、私たち二人はラブラブでした。

そんなある日のこと。

私が所属していたテニスサークルにある一人の青年がやってきました。

「は、初めまして、僕の名前は三木春馬と申します。

勧誘ポスターを拝見して、面白そうだなと思ってここのサークルに入部しました」

緊張した面持ちでそう話す青年の姿があまりにも面白くて―

思わずクスッと笑ってしまいました。

しかし、その時の私に部員同士以上の淡い情はありませんでした。

転機が訪れたのはその数日後のこと。

部員同士の親睦を深めるため、近所の居酒屋で開かれた飲み会の帰り道、

不意に彼が近付いてきて、私の耳元でこう囁いたのです。

「松田さんって噂通り、とても素敵な方なんですね」

 

素敵な人?何、私ってそんな噂立てられてんの?

困惑と驚きで、一瞬言葉に詰まってしまいました。

「なに、三木くん酔ってるの?」

そう言って彼のもとから立ち去ろうとしたその時―

後ろから抵抗出来ないような大きな力で抱きすくめられました。

「そんなに俺のこと嫌い?」

甘い声でそう囁かれました。

(一刻も早くこの場から立ち去らねば。)

頭では解っていたのに、なぜか足が一歩も動きませんでした。

「真面目だねえ松田さんは。ま、そういうトコも好きだけど」

とろけるような甘い眼差しに一瞬心を奪われ―

その隙をつかれ、唇を奪われてしまいました。

そのあとのことはよく覚えていません。

翌朝、目を覚ますと裸になった状態でホテルのベッドに横たわっていました。

(あれ、昨日何してたんだっけ―)

お酒を飲んでいた私は記憶障害を起こしていました。

半日が経ち、記憶が戻ると自分が今置かれている状況にがく然としました。

「や、やばい。とんでもないことしちゃった・・・」

そう呟き、慌ててホテルを飛び出しました。

あの日の夜の出来事は、今まで誰にも話したことはありません。

この場で打ち明けるのが最初で最後です。

私がいまここでした話は―どうかみなさん秘密にして下さいね。

約束ですよ。

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